NHK俳句 番組投稿句

NHK俳句6月募集締切分の紹介です。

このところ体調の悪かった父を大嫌いな医者へ(無理やり)連れて行ったところ、「大腸ガンのステージ4です」と診断され、その日のうちに余命を宣告されました。

母を亡くして5年。

両親ともに旅立つ日が近づいたようです。

自分もいい年なので事実は事実と冷静に受け止めたつもりなのですが、こうした宣告はやはり精神のどこかに影響を与えるらしく、俳句を詠んでも一向に良い思案が浮かびません。

あまりに酷い出来なので、正直ブログで公開するかどうかも悩みましたが、「俳人として大事な時期にこういうことがあった。それも人生の記録」と割り切って更新することにしました。

……ちょっと錯乱気味な句が多いですが、ご容赦頂ければと思います。

兼題:蚊帳

 ・ 母衣蚊帳の向こうに母の顔おぼろほろがやの むこうにははの かおおぼろ
  ― こんな幼児時代の記憶ありませんか…?

 ・ 青蚊帳を吊ればテントは別世界あおがやを つればてんとは べつせかい
  ― 青蚊帳に入るとちょっとした異世界体験ができます

兼題:風鈴

 ・ ばるはらとなる風鈴の鬨九十九ばるはらとなる ふうりんのときつくも
  ― 風鈴市で目を瞑るとこんな感じ

 ・ 風鈴の市銀濤をかぶる位置ふうりんのいち ぎんとうをかぶるいち
  ― 音を波に喩えて脚韻を踏んでみました

兼題:新涼

 ・ 新涼や帰結は読めぬジュブナイルしんりょうや きけつはよめぬ じゅぶないる
  ― ジュブナイルとは今で言うラノベです

 ・ 船出せるしろかね速し涼新たふなでせる しろかねはやし りょうあらた
  ― 金属の光沢と配合した句は前例がないようだったので挑戦!

兼題:ばつた

 ・ ごうはらは飛ばずに逃ぐるばつたどもごうはらは とばずににぐる ばったども
  ― 子供心にもストレスのなんたるかを教えられた気がします…

 ・ きちきちの鳴く発条を巻くためにきちきちのなく ぜんまいをまくために
  ― 巨大な後脚をゼンマイに喩えて


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